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千石 ウナギ整骨院のお知らせ

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毒にも薬にもならない話

中学生の時,教室の後ろの壁の掲示欄に自己紹介シートなるものを書いて貼っていました。
好きなものや嫌いなもの,最近ハマっているものや将来の夢などの項目があり,各々思い思いに書きました。その中でもよく記憶に残っているのは「尊敬する人」欄でした。家族,部活の先輩,歴史上の人物などいろいろでしたが,私はこう書いていました。

“フグを最初に食べた人

今思うとなかなかとんでもない答えです。オリンピックに出たOBの先輩も,織田信長も,両親ですらも,フグ食べた人に負けたのです。
でも私は当時,こんなストーリーを思い浮かべていました。


時は江戸時代・・・(※実際はもっと昔からフグ食はあったそうですが,当時はそんなこと知りませんでした)

権之助(漁師)「おい,今日は珍しい魚が釣れたぜ」
吉兵衛(問屋)「へえ,なんだこのフーセンみたいに膨らんだケッタイなやつは」
権之助    「魚には変わんねぇ。くれてやっから食ってみりゃいいさ。」
吉兵衛         「おやおやそうかい。タダとはありがてぇ。儲けさせてもらうぜ。」

吉兵衛    「てなわけでい。なんなら握ってみてくんねぇ。」
梅吉(寿司屋)「すっかりしぼんじまったが,膨らむたぁおもしれぇ。切ってみっか。」
吉兵衛    「おお,ずいぶんきれいな白身だな。うまそうだ。」
金次(常連) 「おお,新ネタかい。じゃあ,おいらはここをいただくぜ。・・・・・・・・・う,うおおお・・・!」
・・・パタッ・・・
梅吉     「なんでぇ金の字,うますぎて倒れちまったかい。・・・ん?おいどうした金の字。金の字!!」
吉兵衛    「どうしたこった。死んじまってやがる!」
梅吉     「いったいこの魚がどうしたってんだ。(パクっ)・・・・・・・・・ぐ,ぐええええ・・・」
・・・パタッ・・・
吉兵衛    「う,梅さん!!・・・ひ,ひぃぃぃぃ!!」


実際はどうだったかは不勉強なため知りませんが,フグをはじめに食べた人がフグ毒について知るはずもなく,詳細な成分検査をできる施設があったはずもないので,恐らくはじめに食べた人は残念な結果になってしまったでしょう。もちろん,たまたま内臓をきれいに取り除いて食べられる部分だけ食べていたら話は別ですが。



なお最近はテレビ等で扱われることもあり割と広く知られていますが,フグの持つ猛毒テトロドトキシンは自然の海でフグが食べるエサに由来するそうです。エサに毒があってそれを取り込んでしまうのだそうです。したがってエサを人工的に管理された養殖フグには毒はないということです。それでも調理には特殊な免許が必要です。

とかく,このように毒は避けるべきものという認識が通常ですが,中には量さえ間違えなければそうでもないものも。
食中毒の原因となるものの一つに「ボツリヌス菌」という細菌があります。人体に害があると言われるものですが,医療の現場で活用されています。多汗症状の緩和や,老化による肌のシワやたるみの解消にボツリヌス菌が使われているところもあります。そもそも予防注射も,かからないようにしたい病気の素を体内に打ち込むし,飲み薬の多くも毒になり得るものです。
テトロドトキシンの有効活用の話はついぞ聞いたことがありませんが,生活と毒は密接に関わっているようですね。





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